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2026年5月・6月児童展示「星をみた犬と人~チロと藤井旭となかまたち~」

2026.05.03| ブログ

こんにちは、大和高田市立図書館です。

今回の児童展示のテーマを見て「チロって?藤井旭さんって?」という方もいらっしゃるかと思いますので、少し説明いたしますね。

藤井旭(ふじいあきら、と読みます)さんは1941年山口市生まれのイラストレーターで天体写真家です。子どもの頃から星を観るのが好きな少年でした。大学卒業後、東京でイラストのお仕事をしていましたが、ネオンにより星が見えづらい東京を離れます。大好きなおまんじゅうを作っている和菓子屋さんがあるという縁もあり福島県郡山市に移住。おまんじゅうづくりの仕事を経て、星と天体観測を愛する仲間たちと、1969年に白河天体観測所を開きました。

同じ年の冬、デパートの犬の展覧会で、藤井さんはある仔犬と出会います。北海道犬のメスのその子は、藤井さんの家族となり、チロという名前をつけてもらいました。

車酔いしないチロは、藤井さんの写真撮影や天体観測に同行していたため、観測所に集まる人たちとも仲良しに。また、熊とにらみ合って撃退させた勇敢さをかわれて、天文台の所長にも選ばれました。

テレビ番組や雑誌で紹介されたこともあり、「チロの天文台に行きたい!」と全国にファンができるほどの人気になりました。全国から星とチロの好きな人が集まる星まつりの世話人(?)代表も務めました。しかし、1981年、体内に腫瘍ができ、大手術は成功して一度は元気になったように見えましたが、9月に入り再び体調が悪化。藤井さんの腕の中で眠るように亡くなりました。

1984年に刊行された『星になったチロ』は、藤井さんとチロとの出会いから1984年に刊行された『星になったチロ』は、そんなチロと藤井さん・星仲間との出会いから別れ、その後のお話をまとめた作品です。『チロと星空』『チロの星日記』『チロの星まつり』では、『星になったチロ』には入りきらなかった、たくさんのチロのエピソードがおさめられています。

チロは藤井さんや星を愛する人たちと、たくさんの濃密な時間を共有しました。ともに同じ星をみたり、一緒に隕石を捜索したり。これぞまさに、人間と犬の染色体を超えたヒューマンアプローチ(※)と言えるのではないでしょうか。

※川原泉さんの傑作漫画「銀のロマンチック…わはは」に出てくる表現。フィギュアスケートペアのお話で、4回転のコツを掴めないヒロインに、彼女の飼い犬のポチが体を張って教えてくれるシーンにおいて使用されている。一度で良いから私もこの表現が使いたかったので、ここぞとばかりに引用。

残念ながら白河天体観測所は、2011年の東日本大震災後に閉所し、藤井さんも2022年に81歳でお亡くなりになられました。

藤井さんはたくさんの星や星座、月や天体観測に関する著書を残しておられます。当館で所蔵しているのは、そのほんの一部ですが、これを機会にぜひお読みいただきたいです。

また、藤井さんの著書以外の図書で、星や天体観測に関する資料も集めました。一般書もありますので、大人の方にもお楽しみいただけるかと思います。

私も都会のコンクリートジャングル、ネオンだらけの街で生きていて(?ほんと?)満天の星空なんて、もうずっと見ておりません。けれども、私も藤井さんの本を読んでいると、ものすごく星が見たくなってきました。本は、すぐには行くことができない場所に、あなたを連れていってくれます。皆様も、ぜひ星の本から天体観測へ行ってみませんか?