こんにちは、大和高田市立図書館です。
2025年11月9日(日)・16日(日)・23日(日)の、連続3回古文書講座を開催しました。
講師は、当館の古文書講座で毎年お世話になっている、おなじみの安田真紀子先生です。

この講座では、江戸時代に、現代でいう「くずし字」で書かれた文書を読み解いていきます。今年は、天保8年(1837年)に出版された『浪花組道中記』を読んでいきました。
「浪花組」とは、江戸の文化年間に大坂(江戸時代はこの漢字です)で結成された、宿の組合です。今でいう旅行代理店に近く、旅行者が希望どおりの旅籠に泊まれるよう案内していたようです。この「道中記」は、旅行をする中で、旅人が気をつけるべきことをまとめたものです。
江戸時代の旅と言えば、こんな↓イメージですが…どんなことがとりあげられているのでしょうか?


(レディース&ジェントルメン旅行中in江戸時代)※文法が無茶苦茶なのは承知の上です。
食中毒に気をつけよう(特に夏場はね)、お酒の呑みすぎはだめ(もめごとになるかもよ)、旅先で知り合った人には用心しろ(詐欺師や盗っ人かもしれないよ。そうじゃなくてもいろんな人がいるから、物言いには気をつけな)、いくら安くても、怪しげな旅籠に泊まってはいけない…など現代にも通用するようなことがいっぱい掲載されています。
なかでも、旅籠で偽名を名乗ったり、宿帳に違う名前を書いたりしちゃだめ…という話はとても興味深く感じました。今でも有名人がホテルで偽名を使っていた…なんて話を聞いたとき、なんとも愉快で微妙な気持ちになるじゃないですか♪(⌒∇⌒)んふふふ。
ちなみに江戸時代には、罪を犯した人たちや故郷から逃げてきた人(「無宿人」と呼ばれた人たちも…)、宿屋に逃げ込むことが多かったため、定期的に〝宿役人〟が巡回して、宿泊者に名前を尋ねたり、宿帳をチェックすることがあったようです。そこで嘘を言うと、何もしてなくても怪しまれることになってしまうから、正直に答えないといけませんよ…ということなのですね。
こうした今に通じる事項が多い一方、医学系のお話は「?」なものが多いのです。いくつか挙げて突っ込ませていただきます。
○足にマメが出来たときは針でつぶして水を抜き、たばこの吸い殻を糊(のり)で練って貼る→絶対にマネしちゃダメ!最初にこれをやってみた人は誰なんだ。書いているだけで何だか痛いわ。
○(先ほどの続き)それでも痛みが強く治らないときは半夏の粉(漢方薬の一種)と赤にし(赤螺・巻貝の一種)の黒焼きを飯粒で練って貼るとよく効く→何かを練って貼るの好きやね…。それと、昔の人って「いもりの黒焼き」とか、黒焼きに神秘のチカラを期待しすぎているような気がする。
○くたびれて足が痛いときは、お風呂に入ったあとに、塩を足の裏に塗って、火であぶる↓絵にするとこんな感じ?

おいおい、火傷するぞって!今でも足裏に貼る「?」な商品がありますが、今も昔も足の裏に神秘のチカラを感じすぎている人って結構いるのかも…。あとお塩もね…。
古文書を読んでいると、昔の人の知恵を感じる一方、やっぱり医学や化学の進歩は大切だ、と現代の有難さが染みてきて興味深いですね。
考えて、読み解いて、解説していただいて、充実した時間があっとう間に過ぎてしまいました。参加者の方々からはたくさんのご質問があり、皆様の熱意を感じました。

安田先生、参加者の皆様、どうもありがとうございました!
