皆様こんにちは。大和高田市立図書館です。
オードリーヘップバーン主演のサスペンス映画で『暗くなるまで待って』という作品があります。1967年公開のアメリカの作品で、同名の戯曲を映画化したものです。原題は、『Wait Until Dark』です。この頃の洋画は、原題から離れた邦題をつけることも多かったのですが(それもまた味だったんですけどね)、これは直訳に近い邦題ですね。

また、1969年公開のフランス映画に『暗くなるまでこの恋を』という作品があります。ヌーヴェルバーグの巨匠フランソワ・トリュフォー監督のこの映画の原題は『La Sirène du Mississipi』で、「ミシシッピ川のセイレーン(人魚)」という意味です。随分原題と違う印象です。ただこの映画にも原作があり、そちらのタイトルは『暗闇へのワルツ』(原題は『Waltz into Darkness』)なので、映画の邦題はそちらに寄せてつけられたのかもしれません。原作はアメリカの推理作家、ウィリアム・アイリッシュによるサスペンス小説ですが、この作品のフランス語版が出版されたとき、「ミシシッピ川のセイレーン」というタイトルだったようです。

ちなみにこの作品は、2001年にアメリカでも映画化されましたが、そのときの邦題は『ポワゾン』でした。つまり「毒」です。しかし、映画の原題は『Original Sin』…キリスト教における「原罪」という意味です。何だか話がややこしくなってきましたが、ひとつの作品から、随分いろんなタイトルが生まれたものなんだな…という印象です。けれども、愛・嘘・悪・堕落の絡んだ濃厚なサスペンスであるこの作品には、やっぱり原作の『暗闇へのワルツ』という題名がいちばんしっくりくるような気がしますが、皆様いかがでしょうか。

ここまでのお話は、今回の児童展示と直接関係ありません(ないのかよ)。まあ、見て下さいよ、下の写真を…。


今回の展示のテーマは「くらくなるまでまっててネ」です。
長かった夏が終わり、秋の夜長を楽しめるようになりました(…と思ったらもう冬みたいな気温ですね。でも、今はあくまで秋だと思ってください。そうしないと、この展示は成立しないんです)。別に朝や昼に読んでもいいけれど、外が暗くなってから読むと、よりその世界を堪能できる、そんな本を集めてみました。
夜や暗闇を描いた絵本、ひと晩に一話ずつ読んでいきたい外国の短い物語集(岩波少年文庫に良いのがいっぱいあります)、夜に異世界への扉が開かれるファンタジーなど、たくさんの本を集めました。


最後まで気の抜けないサスペンス短編に、じっとりひたひた染みるホラー、異国へと誘う文字のない絵本も用意しています。



NHK「みんなのうた」の、『メトロポリタン美術館(ミュージアム)』(1984年・大貫妙子/作詞・作曲)とか『まっくら森の歌』(1985年・谷山浩子/作詞・作曲)が、好きだった人にも(つまり、まあまあ大人な人)楽しんでいただけるコーナーとなっています(著作権の問題があるので、歌詞については触れずにおきます。どちらの映像もすごく印象的でした)。
だから、図書館で、…待ってるネ(^O^)/…あ、最後に大事なことを一つ!本は(お外は暗くても)電気がついた明るいお部屋で読んでくださいね。
